(12/07 読売新聞 東京夕刊 文化面 01段 より)

日本SF大賞 荒俣宏氏への授賞式

 「第八回日本SF大賞」の授賞式が三日夜、東京・日比谷の東京会館で開かれた。今回の受賞者は「帝都物語」の荒俣宏氏。先輩作家の豊田有恒氏から賞状とトロフィーを、主催者の徳間書店社長、徳間康快氏から副賞百万円を手渡され、感無量の表情だった。
 荒俣氏は、幻想文学の翻訳者(筆名、団精二)、研究者として知られ、神秘学、博物学にも造けいが深い。今回の受賞作は同氏にとっては処女小説となるが、そうした博学多識が裏付けとなっているともいえそう。
 「ここ二十年というもの、日々、本を買うためだけに費やしてきました。その意味でいえば、私は生きていません。亡霊が晴れがましい席に現れてきたような気がします」とユニークなあいさつを述べた荒俣氏に対し、石川喬司、小松左京、星新一各氏が、「新しい作品に期待したい」(石川氏)、「本を読んで荒俣さんやったねと思った」(小松氏)といった温かい励ましの言葉を送り、会場は遅くまでにぎわった。