「荒俣 宏 博物画コレクション展」
「荒俣宏講演会およびサイン会」
開催(大阪)!!



 大阪市港区にある水族館「海遊館」の開館10周年を記念して、「荒俣 宏 博物画コレクション展」「荒俣宏講演会およびサイン会」が開催されました。


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1.【「荒俣 宏 博物画コレクション展」について】
 開催期間  平成12年11月17日(金)〜11月26日(日)
 開催場所  天保山マーケットプレース3階 特設会場
 開催時間  10:00〜20:00
 入場料金  無料
 展示作品
〇原画プレート
 ・シーボルト「ファウナ・ヤポニカ」(1845)
 ・キュヴィエ&ヴァランシエンヌ『魚の博物誌』(1828)
 ・ヘッケル「自然の造形」(1899)
 ・大野麦風「大日本魚類画集」(1935)ほか
   なお、原画の一部、複製画を即売します。
〇書籍
 ・ギュンター&ギャレット「南海の魚類」(1873−1910)
 ・栗本丹州「千蟲譜(せんちゅうふ)」(1811)
 ・ルナール「モルッカ諸島魚類彩色図譜」(1754)ほか

2.【荒俣宏講演会およびサイン会について】
 内  容  演題「魚の絵の歴史」
      (展示している博物画の話を中心に、日本とヨーロッパの
        水族館の歴史もあわせてお話しいただきます)
 場  所  海遊館エントランスビル2階「海遊館ホール」
 開 催 日  平成12年11月19日(日)
 時  間  14:00〜15:30(開場13:30)
        講演会終了後、「海遊館ホール」前にてサイン会を行います。
 入場料金  無料(事前に募集、サイン会については自由に参加していただけます。)


【展覧会】
魚やカニ、イソギンチャクなど海の生物を中心に、約百点の博物画が展示されました。コレクションの即売のほうは、1000円くらいの葉書大のものから四万円くらいのものまで、魚の絵が中心。クリアファイルに入れてあり、申し出れば見せてもらえるスタイルでした。

【講演会】
参加者は100名未満で、ハガキがなくても入場できるという、少々さびしい状況。それでもアラマタは用意したスライドに解説を加えながら、「魚の画の歴史」をテーマに熱く語りました。
講演冒頭の、「日曜のしかもよく晴れた昼間に、どう考えてもどこかでデートでもされる方がいいに決まってるのに、せっかく来ていただいたんですから、今日はおもしろい話を行けるところまで行きたいと思います!」との言葉通り、予定時間を20分ほどオーバーして話したそうです。

まずは、現在のような水中を真横から見ることのできる水族館ができるまで、人間は水中をどのように再現してきたかについて。
16世紀くらいまでは、水中の生物を陸上にあげた状態で絵に描くことで水中を再現していたこと。16世紀にはいると、ガラスの扉がついたキャビネットの中に剥製を並べて再現する方法(ドイツ語でブンダー・カマー、英語でワンダー・チェンバー、日本語にすれば驚異の箱)が出現したこと。また、イタリア等の都市では人魚やトリトン、ポセイドンなど海の神の彫刻を飾ることで、陸上に海の風景やイメージを再現したこと。18世紀には陸上に竜宮城(イタリア語でグロッタ)を建築したことなどが語られました。
つづいて、魚の絵をメインに博物画の歴史について。
初期の博物図鑑に描かれた背景付きの博物画から白い紙に生物だけを描く背景なしの博物画に移行した歴史。博物画に描かれた枠(フレーム)が背景の名残であること。日本と中国の博物画には花鳥画の影響が色濃く、生きものの持つエネルギーや気配、水の質感を描くことに優れていたこと。水の質感を描くことが不得手だったヨーロッパ人の描いた海の生き物(イソギンチャクなど)の絵は非常にシュールなできあがりとなり、アンドレ・ブルトンらのシュールレアリズム・アートにまで影響を与えたこと。ルナールの魚類図譜について。日本の魚の絵がヨーロッパのそれに比べ、エネルギッシュで活き活きとおいしそうに描かれていること。日本の博物学には名物学的要素が大きいこと(例えば鯛、鮭、鮎という字義が日本と中国で異なり、それらを絵にすること、図鑑にすることが重要だった。ちなみに中国では鯛は一定の種を指すものではなく小さな魚のイメージ、鮭はフグ、鮎はナマズを指すという)。平賀源内プロデュースによる『衆鱗図』について。などなど。

【サイン会】
参加者は50人くらい。会場では『年表で読む 荒俣宏の博物探検史』(平凡社)が販売されていましたが、サインは持参の本や色紙など何でもOKでした。
アラマタは超多忙の身でありながら、いろんなリクエスト(名前を入れてくれとか、複数の本にサインしてくれとか)に「ああ、いいですよ」と快く応じ、サインを終える度にペコリとお辞儀をしたり、紙質に応じてペンを変えたり、サービス精神旺盛でした。『花の図譜ワンダーランド』には、自ら「花神 荒俣宏」と書いたそうです。また、写真を撮ってもらった方は、アラマタの方から「ありがとうございました」などと言われ、恐縮したそうです。
ちなみに、皆サンが持ち寄った本は、『世界大博物図鑑2巻・魚類』、『博物画ワンダーワールド1991−92展覧会図録』、『花の図譜ワンダーランド』、『荒俣宏の博物探検史』、『鳥羽ミステリ紀行どおまん・せいまん奇談』、『オカルト全書』、『帝都物語』などなど(「アラマタゲノム」調べ)。『展覧会図録』には「これは、なつかしい本だなぁ。かなりレアですよこれは。」などと述べたそうです。


※博様の全面的な協力を得て作成しました。ありがとうございました!!