コーナー名/かお
紹介/インパクの2月編集長を務める作家  荒俣 宏さん
リード/人々の間に入って聞き耳をたててるような感じ
本文/
 あふれんばかりの蔵書を四軒に分けて所有する博物誌家で、神秘小説「帝都物語」の著者が、政府主催の「インターネット博覧会(通称インパク)」の二月担当編集長に転身。睡眠時間を削り毎日原稿をネットに載せている。「奇にして遇なる出会い」がテーマ。「百年前のパリ万博博覧会は、新世紀がどうなるかを見るために人々が集まった。今回はインターネットの世界には何かある、埋蔵金を掘り出せるかもしれないというのを、浮き彫りにする」と言う。
 例えば、漢字しか受け付けない検索サイトを編集し、その字の意味に関連する各種ホームページを紹介する。「ネットでは英語が主流だが、記号として三千年超の歴史を持つ漢字でもこんなことができるという仕掛けをやりたい。中学生時代、小遣いをため好きなミステリーの洋書を探して東京・神田の古本屋街をさまよった。当時のわくわくしたた気持ちは「ネットでもある。それ以上かも」。
 連載中の過去の万博についても、会場で配られていた見取り図やお土産品の情報は書物に残っていない。それが「ネット・オークションで実物が手に入った。本にはない、下世話で裏話的な情報がすべてある」。  今や、ネット・オークション巡りに毎日約二時間、年間数百万円をつぎ込む。作家として次作のテーマさえ、ネットから掘り出す。前世紀中に起きた事件を集めてつづるが、「世界で初めて女になる性転換をした男の話も見つけた」。
 「何か探していると、いよいよ現実の世の中を歩くような、人々の間に入って聞き耳をたててるような感じですね」。
仮想世界と呼ばれるネットを超越する五十三歳。
東京都出身。 (共同)


※しろうさ様、ありがとうございました!!