2002年7月 荒俣宏 活動記録

何か情報があれば宜しくお願いします。

 

2002年7月 (平成14年 54-55歳)

主な出来事: 東京ディズニーシーに1,000万人目のゲストが来園、アフリカのチャドで約600 - 700万年前の人類の祖先としては最古となる猿人化石が発見される、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの食材や水道水の管理の杜撰さが発覚 火薬の不正使用も

日付 媒体 出版社・TV局他 時間他  タイトル 備考
- 冊子「NEO Road 21 ネオロード21」 日本道路公団静岡建設局 Volume6 Number6 東海道の「風水」ばなし Volume6 Number6 2002.07.**

連載 E 「仙人になれる山」 P.裏表紙

(博様、ありがとうございました)
1日 機内誌「アルカス」 JAS 7月号 荒俣宏の珍品発見 2002年7月号 No.153(第15巻7号通巻153号)2002.07.01

連載第4回 「『悪魔のロープ』を集める −ヴィンテージ有刺鉄線− 」。p6-7、撮影:金澤篤宏。  

[伊 0201あ]             
初旬 Web parco.tv パルコ・ドット・ティーヴィーさんで「荒俣宏博物画コレクション」の販売がはじまりました。お手頃な価格で素晴らしい博物画が購入できます。ぜひどうぞ。(販売サイト直はこちら))
1日 新聞 日経新聞(夕刊) プロムナード 月曜日夕刊での短期集中連載です。第1回は「先回り((5月に亡くなられた児童文学者の矢川澄子さんのことについて)」。(玉兎様、ありがとうございました)
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 連 載 プロムナード 荒俣宏
2002年7月1日号〜12月16日号(全21回)

[収録]
『荒俣宏の不思議歩記』(毎日新聞社 2004.11.20)
 第二部 「ワンダー驚き」のある日常 二〇〇二年のプロムナード

(DOJI-I様)
1日 雑誌「和楽」 小学館 7月号 - 「巻頭大特集 花の天才たち:花とともに生きる、8人の魂」に寄稿。(博様、ありがとうございました)

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2002年7月号(第2巻第7号)2002.07.01 年間購読料13200円(税込)

巻頭大特集 花の天才たち 花とともに生きる、8人の魂
博物図譜の花園に住まう 荒俣宏(博物学研究家)
取材/文・秋山礼子 P.86-89{オールカラー}

和の陰陽に配置された花
写実的に再現されたドイツの花
端正に描かれたフランスの花
自然のままのイギリスの花

[見出し]
特集 花の天才たち3
鮮やかな彩色、精密な描写。現実の花よりも美しい,不思議な魅力に満ちた植物図譜を荒俣宏さんは数多く蒐集しています。画家たちの手で克明に写生された花々の絵は、200余年を経てもなお、新鮮な驚きと感動を私たちに与えます。これらの貴重な植物図譜は、いわば18、19世紀の花を封印した、架空の花園。荒俣さんはそんな花園の主なのです。
花の図譜は立派なアートです
「実際の花より、5倍も6倍もおもしろい」荒俣

1日 雑誌「自由人」 カラット 7月号   2002年7月号(第2巻第3号通巻第7号)2002.07.01 雑誌15177-07 648円(本体)

秘湯へ、秘境へ…。
【第一部】 あの人が推す秘湯・秘境 Best5
秘湯の認定条件 入門編から上級編まで、真の秘湯ベスト5

荒俣宏 【作家】 P.22-25
最低この3つをクリアしないと秘湯と認めるわけにはいかない
中級・上級の秘湯と呼ぶにはさらに原始性、神秘性が必要だ
荒俣宏Best1 カムイワッカ湯の滝【北海道】
荒俣宏Best2 姥湯温泉『枡形屋旅館』【山形県】
荒俣宏Best3 宝川温泉『汪泉閣』【群馬県】
荒俣宏Best4 二岐温泉『大丸あすなろ荘』【福島県】
荒俣宏Best5 湯ノ峰温泉『つぼ湯』【和歌山県】

(DOJI-I様)
1日 雑誌「KADOKAWAミステリ カドカワミステリ」 角川書店 7月号 新帝都物語 以下掲載。

2002年7月号(第4巻第7号通巻第33号)2002.07.01
ISBN4-04-721433-7 C9493 雑誌コード62481-52 552円(本体)

第9回ホラー小説大賞
選評 小説のパワー奪回を要望する 荒俣宏 P.25

(DOJI-I様)[伊 0201か]
7日 お別れの会 - - - 下中邦彦氏(平凡社元社長、6/6死去)のお別れの会に参列。@青山斎場。


「わたしがかれこれ二十年も「平凡社に居候を決め込むことになったのも、邦彦さんが笑って許してくれたおかげであった。
「君、博物学の本を書くのなら、会社の資料を何でもお使いなさい。熊楠も上野益三も、揃っているから」と。
(中略)
わたしも邦彦さんの力を「自由に使わせて」いただいて、博物学の企画を実現できたのだ。」

(「荒俣宏の不思議歩記」(2004/11/20)より)
6日 チケット発売 (妖怪会議) 世界妖怪会議(8/11)のチケットが発売となります。チケットぴあで購入できます。Pコード:802-849、S席4300円、A席3800円。(玉兎様、ありがとうございました!)
8日 新聞 日経新聞(夕刊) プロムナード 連載第2回 「贅沢と感服(日本人は最近まで鮪のトロを食べなかったという)」

全文↓

http://fudoumyooo.fc2web.com/syun/kaisetu_syun/maguro_2.html

15日 新聞 日経新聞(夕刊) プロムナード 連載第3回 「磯野家のワープロ」。「日本博物誌年表」(平凡社)の著者である磯野直秀氏のお話。
15日 書籍 - - - 以下に荒俣に関する記述あり。


『水木しげるの魅力』志村有弘 編 (勉誠出版 museo-I)

2002.07.15 ISBN4-585-09075-4 C0095 1800円(本体)
A5判 角背 並製 215頁
表紙デザイン:止部有希子
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[目次]<部分>
第二章 水木漫画を読み解く
荒俣宏 岸睦子 P.94-96

(以上、DOJI-I様)
18日 訃報 - - - タレント戸川京子氏死去。享年37。荒俣は2人で不動産情報誌「アパマン」の表紙を飾ったことがある。
20日 冊子「本の窓」 小学館 7月号 「特集 日本の天然記念物―動物編―」で、池田啓氏(理学博士、コウノトリ専門家)と対談しています。
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2002年7月号(第25巻第6号通巻217号)2002.07.20 雑誌08201-7 95円(本体)

特集 日本の天然記念物―動物編―
対談 天然記念物と人のかかわり方 荒俣宏・池田啓 P.2-9

花鳥諷詠は自然観察から/日本全国が博物館という発想

(博様、ありがとうございました)

20日〜 イベント(協力) 海遊館 金魚伝来500年記念特別展示 「あつまれ!いろんな金魚たち!〜愛されて 500年〜」 「夏休み特別企画・金魚伝来500年記念特別展示」で、18世紀に発行された「ヨーロッパ産金魚図鑑」や、明治時代に外国に向けて出版された日本の金魚図鑑など、アラマタ所蔵の古書3冊が展示されています。会期は9月1日まで。(玉兎様、ありがとうございました)
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『あつまれ!いろんな金魚たち!〜愛されて500年〜』

日時:2002.07.20〜09.01
主催:海遊館(大阪府)
会場:海遊館 5F企画展示室
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[注記]
7月20日(土・祝)から9月1日(日)までの夏休み期間中、館内5階企画展示室などで、「あつまれ!いろんな金魚たち!〜愛されて500年〜」を開催し、約40品種約100匹の金魚を特別展示。
 この特別展示は、1502年に金魚が初めて中国から日本(大阪・堺)へ渡来してから、今年がちょうど500年目にあたることを記念して開催。
 ポピュラーなデメキンやリュウキンをはじめ、天然記念物のトサキンやジキン、ナンキンなどの日本で改良された金魚、香港オーシャンパークからやってきた藍文魚(ランウェンユウ)や藍丹鳳(ランダーンフォン)、雲石花文魚(ユンシーホアウェンユウ)などの中国金魚、さらに日本初公開となるイギリスで改良されたブリストルシュブンキンなどを展示。
 また、18世紀に発行された「ヨーロッパ産金魚図鑑」や、明治時代に外国に向けて出版された日本の金魚図鑑など作家・荒俣宏(あらまたひろし)氏所蔵の古書3冊と、金魚の錦絵数点も展示。
(DOJI-I様)
20日 TV NHK総合 22:00〜22:30 国宝探訪 国宝探訪 大航海時代のニッポン侍〜慶長遣欧使節関係資料〜

出演…樺山紘一,高橋克彦,語り…長谷川勝彦,
スタジオゲスト
作家…荒俣宏,
スタジオキャスター
渡邊あゆみ

 → 2019/2/20再放送された
22日 新聞 日経新聞(夕刊) プロムナード 連載第4回 熊楠の亀の死」。熊楠が息子に与えたという長寿亀が何者かに殺されてしまったという残念な話。
22日 書籍 - - - 以下に荒俣に関する記述あり。

『横尾流現代美術 私の謎を解き明かす』横尾忠則 著
(平凡社 平凡社新書 146)

2002.07.22 ISBN4-582-85146-0 C0270 740円(本体)
新書版 角背 並製 カバー装 215頁
装幀:菊地信義
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[目次]<部分>
第四章 「滝」から「暗夜光路」への旅
「赤の時代」と荒俣宏 P.128-133

第六章 横尾忠則への一〇三の質問
14.博物学者の荒俣宏さんについてどう思いますか? P.188
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[カバー折り返し][帯][広告]
(省略)
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[注記]
第四章の“「赤の時代」と荒俣宏”に平凡社の会議室で描いた作品「実験報告」と荒俣宏とのエピソードが、第六章では“14.博物学者の荒俣宏さんについてどう思いますか?”(P.188)という質問に横尾忠則が答えている。

(以上、DOJI-I様)
23日 書籍 イーストプレス 新編 別世界通信 月刊ペン社(妖精文庫、1977.05.10)、 筑摩書房(ちくま文庫、 1987.12.01)で出されていたものに、大幅書き下ろしとハリポタなどの新データを追加して大幅改訂し刊行されました。417p、定価(本体1700円+税)、ISBN4-87257-295-5。以下、イーストプレスHPの宣伝文言。(玉兎様、ありがとうございました)

●著者デビュー作「別世界通信」(1977年刊)を大幅に加筆・改筆! 今回の“新編”は現代の若者のために新たに編成しなおしたニューバージョンです。
●『アンデルセン物語』から『ハリー・ポッター』まで、名作ファンタジーに秘められた「真実」。 古くからのファンタジーファンも新しいファンタジーファンも、大満足の魅力的な一冊!
●著者おすすめファンタジー180冊+5ブックリスト収録。巻末1-33p

内容説明
『アンデルセン物語』から『指輪物語』『ハリーポッター』まで名作ファンタジーに秘められた「真実」。大きくリニューアルされ、還ってきた、日本で最初のファンタジーガイド。


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『新編 別世界通信』(イースト・プレス)
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2002.07.30 ISBN4-87257-295-5 C0090 1700円(本体)
B6判 角背 並製 カバー装 454頁
装幀:緒方修一
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[目次]
T 序 二一世紀 ファンタジーの復活
第一部 別世界創造とファンタジーの力
U 復活の原動力 『指輪物語』から『ロード・オブ・ザ・リング』へ
V 神話の森の癒し 今はない古に帰れ
W 寓意の扉を開けて神話を超える 見えないものを見る
X 童心と死霊 幼な心は真理と死後に魅かれる
Y 夢を開く鏡 自立的につくられた別世界
Z ロマンスから東洋綺譚へ 高い志と大いなる諦め
第二部 昼の営みとしてのファンタジー
[ 飛躍による超越 でたらめとウソの底力
\ 計算と予想 現実を限りなく延長させる
] 知恵ある脇見 常識から目をそらす必要もある
XT 世界言語とユートピア 創るからには理想をめざせ
XU 楽園の経済学 結末が幸福であってほしい
XV 年代記と記憶 まだ見ぬ「未来」すら、いずれは「歴史」となる
XW エピローグ 幻滅の儀式 ファンタジーからの最終脱出
あとがき
新編のためのあとがき
書棚の片すみに捧げる一八〇冊+5
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[帯]
(前)
ファンタジーの世界へ
『アンデルセン物語』から『指輪物語』『ハリー・ポッター』まで
名作ファンタジーに秘められた「真実」。
(後)
ゲームや映画で魔法が使える喜びを味わいつくした若い読者には、はじめて耳にするファンタジーも多いことだろう。
読めば、すこしむずかしすぎる名作も紹介してある。
どうかゆっくり楽しんでいただきたい。…………本文より
『ハリー・ポッター』『指輪物語』にときめいた人へ大きくリニューアルされ、還ってきた、
日本で最初のファンタジーガイド!
(背)
『モモ』から『ハリー・ポッター』まで
おすすめファンタジー180冊+5ブックリスト収録
ファンタジーの世界へ
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[注記]
単行本『別世界通信』(月刊ペン社 妖精文庫別巻 1977.05.10)、
文庫本『別世界通信』(筑摩書房 筑摩文庫 1987.12.01)に大幅加筆したもの。

(以上、DOJI-I様)

[出版社に掲載なし 品切重版未定扱い]  -2014/08/29 調べ-

→ 2013/11/22にちくま文庫版がkindleで販売 1200円

25日 書籍(記述) トペトロとの50年 ラバウル従軍後記/水木しげる著 『トペトロとの50年 ラバウル従軍後記/水木しげる著』(中公文庫、ISBN4-12-204058-2、686円(本体)、「トペトロとの50年(扶桑社 1995年)」を文庫化したもの)のP.178、179にアラマタに関する記述があります。(博様、ありがとうございました)


『トペトロとの50年 ラバウル従軍後記』水木しげる 著(中央公論 中公文庫)

2002.07.25 ISBN4-12-204058-2 C1195 686円(本体)
文庫版 199頁
カバー画:水木しげる
カバーデザイン:山田健二
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[目次]
はじめに
トペトロとの出会い(初期スケッチ)
トペトロとの再会
トペトロとの別れ
あとがき
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[カバー][帯]
(省略)
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[注記]
単行本『トペトロとの50年』水木しげる 著(扶桑社 1995.07.30)を文庫化したもの。
P.178、179に荒俣宏に関する記述あり。ただし単行本にあった写真はなし。

(以上、DOJI-I様)
26日 TV テレビ東京 22:00〜 芸術に恋して! !「芸術の出島・銀座」 「芸術の出島・銀座」古今東西・芸術作品の間にある意外な関連性▽隠されたエピソード

テーマは「銀座 芸術の出島」で、銀座の隠れた名所を紹介。 VTR出演のみで、スタジオ登場はナシ。

司会は高嶋ちさ子氏、スタジオゲストは美輪明宏、高見恭子、西岡文彦の各氏。(アミノ様、ありがとうございました)

27日 TV TBS 22:00〜23:24 ブロードキャスター もう1人のゲストは作家・岸本裕紀子氏。
29日 新聞 日経新聞(夕刊) プロムナード 連載第4回  「有難うございました」。平凡社の元社長・下中邦彦さんの思い出。(シニアライフに関する情報は、すべて玉兎様、DOJI-I様より頂きました。ありがとうございました)
30日 書籍(寄稿) 角川書店 水木しげる80の秘密 水木大(おお)先生の画業50年記念愛蔵本に、京極氏らとともに寄稿しています。以下(玉兎様、ありがとうございました)


「大先生」水木しげるの傘寿を祝す 荒俣宏

******************詳細*********************** 

『水木しげる 80の秘密』水木しげる・荒俣宏・佐野史郎・京極夏彦・南伸坊・
大泉実成・南條竹則・多田克己・呉智英・村上健司・武良布枝 著
(角川書店)

2002.07.30 ISBN4-04-883763-X C0095 2400円(本体)
A5判 角背 並製 函入り 223頁
企画・編集:三津田信三
写真・図版提供:水木プロダクション
表紙写真:齋藤亮一/STUDIO・MY
装丁:立花久人・福永圭子(デザイントリム)
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[目次]<部分>
「大先生」水木しげるの傘寿を祝す 荒俣宏 P.16-19
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[帯]
(前)
祝!!八十歳
なまけ者になりなさい 水木しげる
(後)
水木大(おお)先生の書き下ろし特製カラー色紙入り! 初版限定
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[広告]
人智を超えた妖怪ぶりの謎に迫る画業50年記念愛蔵版。
漫画家水木しげる御年80歳。ボケを自認しながら今なお見る人すべてを魅了するその秘密を、荒俣宏、京極夏彦、佐野史郎はじめ、つながりの深い人々に様々な視点で綴ってもらう画業50年記念愛蔵版。未発表作品も収録。
書き下ろし特製カラー色紙付
(「角川書店 新刊案内 July 2002」)

人智を超えた妖怪ぶりの謎に迫る画業50年記念愛蔵版
初版限定 水木大先生の書き下ろし特製カラー色紙入り!
(新聞紙上の広告)

水木しげる御大の傘寿を記念して、未完成・未発表の描き下ろし水木漫画や水木マニアの佐野史郎、京極夏彦など豪華執筆陣による書き下ろし原稿収録のファン垂涎のお祝い本。
祝!!80歳
(『神秘家列伝 其ノ壱』巻末の広告)
………………………………………………………
[注記]
初版限定 水木しげる書き下ろし特製カラー色紙(14.8×14.8cm 印刷)付。

(以上、DOJI-I様)
30日 選考委員 主催 読売新聞社・清水建設 後援 新潮社 第14回日本ファンタジーノベル大賞 アラマタが審査員をつとめる同賞の最終候補4作品が決まりました。「戒/小山川子」「喜劇の中の喜劇――南の国のシェイクスピア/泉慶一」「天受売(アマノウヅメ)の憂鬱/中島文華」「ショート・ストーリーズ/甲田いるみ」の4作品です。(玉兎様、ありがとうございました)
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第14回(2002年 平成14年)

選考委員:荒俣宏、井上ひさし、小谷真理、椎名誠、鈴木光司

大 賞:『世界の果ての庭―ショート・ストーリーズ―』
(「ショート・ストーリーズ」を改題)西崎憲(新潮社 2002.12.**)
優秀賞:『戒』小山歩(新潮社 2002.12.**)

選考会:2002.07.30 **:**〜 クラブ関東(東京都千代田区)(DOJI-I様)
- web 扶桑レクセル(株) - LEXEL CLUB ONLINE COMMUNICATION MAGAZINE 『LEXEL CLUB ONLINE COMMUNICATION MAGAZINE』(扶桑レクセル(株))


[注記]
今月の特集 マンショントレンド
人が集まる場所=「広場」にみる、住みよく心地よい住まいの条件。 荒俣宏

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人が集まる場所=「広場」にみる、住みよく心地よい住まいの条件。

パブリックな空間とプライベートな空間が良い関係を成立させるとき、人は楽しく暮らし、住まうことができます。ヨーロッパ中世文化史にも造詣の深い荒俣宏先生が「広場」を通して住空間のあるべき姿を考察します。

日本では「広場」と訳すけれども、その元になっている言葉に広い場所という意味はないんです。ヨーロッパではフォーラムとかプラザとか言われますが、基本的には市民や旅人が集まる場所で、別に広い平地でなくても、建物のなかの中庭のようなスペースでもいい。ある時は庭園でもあり、またある時には市場にもなり、人が集まって会議を開いたりする場所にもなる。こうした役割を果たしている場所が「広場」というわけです。
こうした「広場」に共通している要素は、他人を排除するようなスペースではない、つまりパブリックなスペースということ。そして、そうしたパブリックな空間というのは、いわばハレの時間のために用意された空間です。
公の行事や祭りや遊びの催しなどが行われる舞台の延長が、公園や中庭のようなものを、もてなし空間として私有地の内部に取り組むことにつながっていき、次第に中庭のテーマ・パーク化へと発展します。ブランコを置き、噴水を造り、観覧席を設け、人々がそこでいろんなことを楽しめる仕掛けが用意されました。そうしたエンターテインメント空間が、現代の中庭や広場のイメージにつながっていると言っていいでしょう。
現在、都市や住まいを計画施工している人たちの共有空間に対する発想にも、そうした名残が見られるのはおもしろいと思います。
パブリックなハレの空間に対するプライベートなケの空間とは、ふだん・平日のための日常空間ということですが、このハレとケのメリハリが欠けていると、人間としてふさわしい生活の条件を満たすことができなくなってしまいます。
かつての日本の家を例にあげると、昔は部屋の天井も高く、昔の人々は高い天井の裏の空間に「天井神」の存在を感じ取ることができました。所有者が所有権を発揮できない、日常とは次元を異にする小さなハレの空間の存在が、住まいにハレとケのメリハリを生み出していたのです。しかし、戦後になって機能主義の名の下に、天井はどんどん低くなり、「天井神」の棲む余地のある空間はなくなってしまいました。最近の住まいを見ると、機能主義偏重はさすがに影を潜め、マンションの天井も高くなってきています。「天井神」も再び帰ってくる余裕が住空間に生まれてきているという傾向はうれしい限りです。
一見ムダに見える空間、それは言い方を変えれば「間」が用意されているということです。そうした住まいのほうが気持ちよく快適に住むことができる理由は、そうした「間」によってメリハリが生まれ、日常感覚のなかにハレとケの快い緊張関係が自然に成立してくるからです。集合住宅の中の中庭がそんな「間」としての役割を果たす時、人は集合住宅の中で楽しく暮らすひとつの十分条件を獲得することができたと言えるでしょう。

(DOJI-I様)