2023年8月 荒俣宏 活動記録

何か情報があれば宜しくお願いします。

 

2023年8月(令和5年 76歳)

主な出来事: 日大アメフト部で薬物不祥事、福島第一原発の処理水の放水開始 これに絡み中国が日本空の生鮮物の輸入停止を発表、ハワイマウイ島で大規模火災、ジャニー喜多川による性加害問題が拡大、麻生副総裁が台湾訪問 1972年以来、

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10日 雑誌「週刊文春」 文芸春秋社 8/10号 - 書評掲載

妖怪業界に冷遇されている…「あ、わたしもそうだ!」荒俣宏が著者に聞きたい、南方熊楠についての“重大疑問”とは

荒俣 宏が『未完の天才 南方熊楠』(志村真幸 著 講談社現代新書)を読む

 こんどの熊楠の本は新書判だ。重力があって、しかも中心がない人物を、軽気球に乗せて体重を量るかのような、とんでもなく勇敢な挑戦だと思った。著者が『熊楠と幽霊』を書いた人なので、もしかすると、もしかするかもしれない発見が期待される。
 読み終わって感じた第一印象は、こうだ――むずかしくて長大な基調講演のあと、すっかり気楽になって自由に質疑応答をぶつけ合った二次会の感じ?
 本格的なむずかしい基調講演については、本書はたくみに体をかわしている。まあ、聞いても聞かなくても問題はないからだ。その代わり、談論風発の質問大会で盛り上がる。ときどき出る鋭い突っ込みが刺激的だった。
 つまり、「熊楠は何をなしとげたのか?」という大疑問は、この場合の基調講演に相当する。まともに論じると、普通の読者には眠くなる。しかし、席を替えて大喜利のような「にぎやかな知識」にしたところが工夫だった。
 たとえば「熊楠の神社合祀反対って、どうなの?」と、問う。すると、著者の答えも遠慮がない。つまり、「村に猿の神様と狐の神様がいたとして、猿のほうが狐に吸収合併されたのでは、古い信仰が消えて、やがて村の自然も滅びる」と説明されるが、じつは熊楠の考えはむしろ正反対の順序だった。自分の村の鎮守様がつぶされるのを止めてくれと頼ってきた親類に対し、熊楠は「エコロジーの観点から、信仰ではなく神社の森をまず守れ」と指示した事実も挙げる。これで親類と喧嘩になり、合祀阻止に失敗した事例もあったとする。
 ならば、「エコロジーってそんなに大事なんですか?」という疑問が当然出るが、こんな答えが示される。「そりゃそうですよ、熊楠は信仰を持たない人だったから、村を存続させるには信仰を守るのではなく、その環境を維持しなけりゃいけないという意見です」と。ならば、ぼくも次の質問をしたくなる。「え、熊楠ってそんなに理知的な人だったの? 民俗学者なのに?」
 すかさず著者は、熊楠が妖怪業界(あ、わたしもそうだ!)に冷遇されているという事実を示す。まさに、その冷たい理知性が原因だと。紀州の山にごまんといる山人系の妖怪に対して、古代先住民の面影を夢想した柳田國男とは反対に、「あれは特殊な事情で山暮らしをしているだけ」と、オオカミに育てられた少年の図などを突きつける。「じゃあ熊楠はロマンを解さないの?」著者の答えは、イエス、妖怪なんていないから……。
 この問答は、読者の興味を維持しながら熊楠思想の奥の院へ誘う。なるほど、こう攻めれば、熊楠の世界観がほどけてくる。読後、ぜひ著者に聞きたい重大疑問も、ちゃんと心に浮かんだ――「熊楠はなぜ下ネタ話が好きなの?」


https://bunshun.jp/articles/-/64817
           
           
20日 イベント 京都国際マンガミュージアム - 荒俣宏館長のこども妖怪教室 「荒俣宏館長のこども妖怪教室」の開催について(京都国際マンガミュージアム)


 この度、京都国際マンガミュージアムでは、子どもたちが荒俣宏館長から妖怪について学ぶ「こども妖怪教室」を以下のとおり開催します。
 7回目となる今回のテーマは、妖怪たちの色や形についてです。どうして色とりどりの鬼がいるのか、どうして天狗は鼻が長いのかといった疑問について荒俣宏館長が解説します。
 館長からの解説のあとは、この世にひとつしかない自分オリジナルの妖怪のお面をつくるワークショップを実施します。他では味わえないこの夏のイベントにぜひ御参加ください。

1 日時   令和5年 8月20日(日曜) 
  午後1時〜 (約90分)※ 終了時間が延びる可能性もございます。 
2 会場   京都国際マンガミュージアム 1階 多目的映像ホール
3 内容 
  第1部:荒俣宏館長による妖怪講座「妖怪のイロとカタチ」(約30分)
 鬼や天狗、人魚にろくろ首・・・どうしてあんな形や色をしているのか?他の人にも教えてあげたくなるような驚きの理由を詳しく解説します。
  第2部:オリジナル妖怪お面を作ってみよう!(約60分)
 講座を聞いた参加者の皆さんには、色のついた様々な形のダンボールを組み合わせて、これまで誰も見たことがないような自分オリジナルの妖怪のお面をつくります。お面が完成したら、荒俣宏館長と記念写真を撮影します。
4 料金   参加費1,000円
 (材料費込み。ただし、マンガミュージアム入館料[大人900円、中高生400円、小学生200円]は別途必要)
5.  対象  小学生・中学生
6 定員  50名(事前申込・先着順)
  ※ 定員に達し次第申込締切
  ※ 小学生の参加には保護者の同伴が必要(同伴の保護者の参加費は不要)
7 参加方法   事前申込制(定員に空きがあれば当日参加可)
  参加申込は後日、京都国際マンガミュージアムの本企画サイト内の「専用申込ページ」ボタンからお申込みください。
  ※ お支払い方法はクレジットカード決済(VISA、MASTER、JCB)のみです。
  ※ クレジットカード利用明細には「ST*体験・施設等利用料ウラカタ」と表記されます
  ※ 申込み後のキャンセルはできませんので御了承ください。
8 主催
  京都国際マンガミュージアム
協力:荒魂
           
31日 ムック「怪と幽」 KADOKAWA vol.014 - お化け好きに贈るエンターテインメント・マガジン!
「怪と幽」14号は、特集二本立て!

特集1「奇想天外 きのこの怪」
きのこは不思議に満ちている。まず、見た目からして奇妙だ。美味しい食物として親しまれながらも、幻覚を引き起こしたり毒により死に至りしめたりする種が存在している点が不気味である。そもそも、きのこはかりそめの姿で、本体である菌糸は地下に広がり、普段は目に見えない。動物と植物のあわいで揺らめく神秘的な生態は、昔から人々を惹きつけてきた。きのこに関する神話・民話・文学は日本のみならず世界に分布している。熱狂的な愛好家がいる一方で、前号の特集「怪奇大特撮」で映画『マタンゴ』が“トラウマ特撮”として挙げられたように、恐怖の対象にもなり得た。幾つものきのこ文学を遺した泉鏡花や宮沢賢治、研究者の南方熊楠はもとより、きのこを存分に語る「キノコデー」を提唱した柳田國男まで──きのこは、お化け好きを虜にする!

特集2「幽霊と魔術の英国」
英国では、数々のお城や建築物に幽霊が現れるとされ、現在王室の面々が住まう宮殿も出るのは「当たり前」。霊の出現が観光名所としてのアピールにも繋がっている。そんな「この世ならぬ存在」との距離が地続きの国は魔術の本場でもあり、アーサー王に仕えたマーリンに始まり数々の魔術師の存在や影響が文化に色濃く現れている。英国発の魔術ファンタジー「ハリー・ポッター」シリーズの勢いも止まらない。幽霊と魔術が日常に息づいているこの国は、日本の作家や読者にも大きく影響を与え魅了し続けてきた。英国の幽霊と魔術の世界に、いざ出発!

もくじ
●特集1 奇想天外 きのこの怪
【復刻】 「くさびら」泉鏡花、「きのこ会議」夢野久作
【対談】 飯沢耕太郎×吹春俊光
【寄稿】 田中貴子、多田克己、飯沢耕太郎
【インタビュー】 貴志祐介  
【怪談】 安曇潤平 
【エッセイ】 高原英理、池澤春菜、ヒグチユウコ、日高トモキチ、保坂健太郎、堀博美
【ルポ】 玉置標本 

●特集2 幽霊と魔術の英国
【対談】 織守きょうや×河合祥一郎 
【寄稿】 植松靖夫、南條竹則、額賀澪
【復刻】 坂田靖子「オプション・ハウス」
【座談】 東雅夫×下楠昌哉×中島晶也×土方正志
【ガイド】 ハリー・ポッター世界にみる幽霊と魔術

●小説 京極夏彦、小野不由美、有栖川有栖、澤村伊智
●漫画 諸星大二郎、高橋葉介、押切蓮介
●論考・エッセイ 小松和彦、荒俣宏、加門七海、東雅夫、村上健司&多田克己
●グラビア 中野カヲル、芳賀日出男+芳賀日向、佐藤健寿、新井文彦、怪食巡礼
●怪談実話 鈴木光司、高木道郎、小松亜由美
●情報コーナー 山白朝子×乙一、東亮太×門賀美央子、三上延、夏原エヰジ、大島清昭、高木道郎、怪奇里紗、及川祥平 etc……

https://kadobun.jp/kwai_yoo/new-magazine.html